1. 「被害金を回復できる」と約束する

国民生活センターは、探偵業者について、依頼を受けて実地調査を行い結果を報告することはできても、依頼者の代理人として解約交渉や返金交渉を行うことはできないと案内しています。代理人とは、本人に代わって相手と交渉する人のことです。

そのため、「詐欺で失ったお金を必ず取り戻す」「相手と交渉して返金させる」といった説明を受けた場合、その探偵業者との契約は避けるよう案内されています。

調査で情報を集めることと、相手方との法律交渉を代理することは別です。何を調査し、誰がその後の交渉を担うのかを分けてください。

2. 書面を出さず、口頭だけで契約を進める

警察庁は、探偵業者に対し、契約前に重要事項について書面を交付して説明し、契約後は契約内容を明らかにする書面を交付する義務があると案内しています。

次のようなときはその場で署名しません。

  • 重要事項説明書や契約書を見せない
  • 空欄があるのに「後で埋める」と言う
  • 口頭の料金と書面の料金が違う
  • 書面を持ち帰らせない
  • 解約や資料処分の欄を説明しない

親身に話を聞いてもらったあとほど、断りにくいと感じることがあります。それでも、担当者の親切さと、契約条件が書面に残ることは別です。分からない欄へ印を付け、その場では署名しないでください。

契約書を閉じて五つの注意サインを確認する女性
担当者の印象ではなく、約束・書面・料金・勧誘・調査方法を見ます。

3. 料金の合計だけを示し、内訳を説明しない

国民生活センターは、複数事業者から見積もりを取り、調査方法、料金の内訳、キャンセル料等について説明を受けて比較するよう案内しています。

「一式○万円」だけで、人数、時間、経費、延長、報告書、成功条件、解約が分からない場合は、内訳を求めます。質問しても回答せず、今日支払えば安いと総額だけで決めさせるなら、契約を止める理由になります。

安いか高いかを判断する前に、同じ条件で見積もれる状態かを見てください。

4. 持ち帰りや比較をさせず、即決を迫る

調査の候補日が近いことはあります。しかし、それだけで「今日署名しないともう調査できない」「今断ると取り返しがつかない」と不安を広げ、書面を持ち帰らせない理由にはなりません。

確認したいのは次の三点です。

  1. なぜ今日決める必要があるのか
  2. 今日決めない場合、どの条件が事実として変わるのか
  3. 見積書と契約案を持ち帰れるか

具体的な説明がなく、恐怖や罪悪感だけで急かされたら、いったん保留すると伝えます。その場で言いにくければ、「見積書を確認してから連絡します」とだけ伝え、署名と支払いを止めてください。

5. 違法な手段でも調べられるように話す

探偵業法とは、探偵業者の届出や契約時の説明義務などを定めた法律です。この法律があっても、探偵に特別な捜査権限が与えられるわけではありません。警察庁も、探偵業務を行う際に、他の法令で禁止・制限されている行為ができるようになるものではないと案内しています。

無断で住居へ入る、他人のアカウントへ侵入する、違法な位置情報取得を行うなど、通常はできない行為を問題なくできるように説明する場合は契約しないでください。

個別の調査方法が適法か自分で断定できなくても、どの方法で、どこまで行うのか、法令上の制約をどう確認するのかを書面で尋ねられます。

標識と行政処分情報は入口として確認する

探偵業者は営業所ごとに公安委員会への届出が必要で、営業所には標識を掲示します。一定の場合はウェブサイトにも標識を掲載します。

候補会社の標識と営業所情報を照合し、都道府県警察・公安委員会が公表する行政処分情報も確認できます。行政処分情報とは、営業停止命令など、行政が探偵業者へ行った処分の公表情報です。ただし、標識があることや公表中の処分が見当たらないことは、料金や調査品質の保証ではありません。

届出情報の確認の次に、説明と書面を見ます。

契約前と契約後で、次の行動を分ける

契約前は署名を止め、契約後は記録を保存すると分けます。

今の状態 先にすること 公的相談
相談しただけ 署名・支払いを止め、見積書を持ち帰る 必要なら188
契約案を受け取った 空欄と不一致へ印を付け、回答を文書で求める 強い勧誘なら188
契約・支払い済み 広告、契約書、請求、メールを保存する 解約前後を188へ相談
調査中 停止希望日時を記録し、実施済み・未調査分を分ける 説明が出なければ188
契約前の署名停止と契約後の記録保存・電話相談を左右に分けた図
契約前は止めて持ち帰り、契約後は記録を保存して相談します。

契約後に違和感を持った場合、別会社探しを先にしません。中途解約の記事で停止連絡を整理し、キャンセル料の記事で請求の中身を分けます。

違和感は、言われた言葉のまま記録する

「怪しい気がした」だけでは、後から説明しにくいことがあります。次の形でメモします。

  • いつ、どこで話したか
  • 誰が何と言ったか
  • 何を質問し、何の回答がなかったか
  • 見せてもらえなかった書面は何か
  • 支払い・署名をどう急かされたか

一つの項目だけで会社全体を違法・悪質と断定する必要はありません。契約を止めるには、断定より「説明と書面がそろうまで進まない」という判断で十分です。

契約前で、別の候補との比較が必要な場合だけ、次の記事で標識・相談時の同じ質問・書面の三段階を比べてください。

別の候補も、急いで契約しなくて大丈夫です

まだ契約しておらず、別の候補を探すなら、標識・相談時の説明・契約書面を比べる方法が参考になります。すでに契約済みなら、まず今の契約の記録をそろえ、188へ相談してください。

標識・説明・書面の三段階で比べる

親切な担当者でも、契約を止めるべき説明はあります。できないことを約束する、書面と内訳を出さない、即決を迫る、違法な方法を示す。この言動を記録し、契約前は止める、契約後は保存して相談する、と分けてください。