二つの書面は、渡される時期と役割が違う

探偵業法8条は、契約の前後で二種類の書面を定めています。

書面 受け取る時期 役割
契約前の重要事項を説明する書面 契約を結ぶ前 事業者、業務、料金の概算、解除など、判断に必要なことを説明する
契約内容を明らかにする書面 契約を結んだ後 あなたの調査内容、期間、方法、金額、報告など具体的な合意を残す

会社によって書面の名称やページ構成は違います。「重要事項説明書」「契約前書面」「契約書」「調査委任契約書」などの名前だけで判断せず、必要な項目が、契約前の説明と契約後の具体条件としてそろっているかを見ます。

契約前書面を、署名と同時または署名後に初めて読む状態なら、順番を確認してください。分からないまま署名を急ぐ必要はありません。

二つの書面で対応する項目へ印を付けて照合する図
契約前の説明と契約後の具体条件を、同じ色の印で結んで確認します。

重要事項説明書で見る九つの内容

探偵業法8条1項の内容を、実物の書面へ印を付けやすい九つの問いへ直します。

1. どの事業者と契約するのか

商号・名称、法人なら代表者の氏名を確認します。広告のブランド名だけでなく、契約主体となる法人・個人の名称が分かるか見ます。

2. どの公安委員会へ届出をしているか

公安委員会と、営業所の届出に関する情報を確認します。候補の探偵会社を信頼できるか確かめる入口は、相談前に標識と営業所を確認する方法に分けてまとめています。

3. 法令順守についてどう説明しているか

違法な行為をしないこと、違法な目的だと知った場合は業務を行わないことなど、探偵業務を適正に行うための事項です。依頼者が望めば何でも調べられる、という契約ではありません。

4. 秘密をどう扱うか

業務上知った秘密を守ることについて確認します。相談内容、対象者の情報、写真、報告書を誰が扱うかにつながります。

5. 何を調べ、どう報告するか

提供できる探偵業務の内容と方法を見ます。「行動調査一式」だけでなく、対象、目的、想定する方法、報告の形が説明されているかを確認します。

6. 別の事業者へ委託することがあるか

探偵業務を他社へ委託する場合があるか、その内容を確認します。誰が実際に調査し、情報を扱う可能性があるのかを聞く場所です。

7. 概算料金と支払う時期は分かるか

料金の概算額と支払時期を確認します。人数、時間、車両、交通費、報告書、延長など、概算の根拠が分からなければ質問します。見積もりを同じ項目で並べるには、探偵の見積もり比較表も使えます。

8. 契約をやめるときの条件は何か

キャンセルや解除の条件、料金の計算方法を確認します。「当社規定による」だけなら、規定の本文も一緒に受け取ります。

9. 調査資料をいつ、どう処分するか

写真、動画、メモ、個人情報を含む資料について、保存期間や処分方法を確認します。調査が終わった後に、情報がどこへ残るのかまでが契約前の確認です。

九項目への印の付け方
  • ○:書面に具体的な記載があり、説明と一致する
  • △:記載はあるが、自分の契約へどう当てはまるか分からない
  • 空欄:記載がない、別紙を受け取っていない
  • 口頭のみ:説明されたが書面で確認できない

△・空欄・口頭のみが、持ち帰って質問する項目です。

契約後の書面では「自分の調査」に具体化されているかを見る

探偵業法8条2項の契約内容書面では、一般的な説明が自分の契約条件へ変わります。重要事項説明書に書いてあった方針と、契約書の具体条件を横に並べると不一致を見つけやすくなります。

確認するのは次の八つです。

  1. 契約する事業者の名称・代表者
  2. 契約する人の氏名と契約日
  3. 調査の内容、期間、方法
  4. 調査結果を報告する方法と期限
  5. 他社へ委託する場合の内容
  6. 実際に支払う金額、支払時期、支払方法
  7. 契約解除の条件
  8. 調査資料の処分

「料金30万円」と書かれていても、調査員数、時間、経費、延長の扱いが分からなければ、自分の調査条件として十分に理解できません。総額と一緒に、何をどこまで行う金額かを読める状態にします。

報告についても、「調査終了後」とだけ書かれている場合は、何日以内か、紙・データのどちらか、写真や時刻記録をどう受け取るかを聞きます。

空欄・別紙・口頭説明を見つけたとき

分からない項目があるのは、あなたの知識不足ではありません。空欄は、あなたが聞いてよい場所です。

次の順番で確認してください。

  1. 「この欄は、私の契約ではどうなりますか」と具体例で聞く
  2. 別紙や規定を参照しているなら、その書面も受け取る
  3. 口頭説明だけなら、書面へ追記できるか確認する
  4. 説明と書面が違うなら、どちらが契約内容になるか確認する
  5. 解消しなければ署名せず、書面を持ち帰る

電子データで受け取る場合も、あとで開ける形式か、契約期間中と終了後に保存できるかを確かめます。スクリーンを見せられただけで終わらず、自分の手元に残る形にしてください。

国民生活センターは、探偵業者を選ぶときに複数社から見積もりを取り、調査方法、料金内訳、キャンセル料などの説明を受けて比較するよう案内しています。今日決めなければならない雰囲気より、質問への回答が書面へ反映されるかを判断材料にします。

照合表を持って、別の相談先にも同じ質問をする

ALG探偵社は、公式FAQで相談・見積もり無料と電話見積もりを案内しています。原一探偵事務所も相談・見積もり無料で、相談した後に契約する必要はないと案内しています。

いまの契約案に△や空欄があれば、その項目だけでも別の相談先へ聞けます。同じ調査目的、候補日、開始場所を伝え、業務内容、概算額、委託、解除、資料処分を同じ順番で質問すると、書面の具体性を比べられます。

合計金額だけでなく、解除と資料の保管先や処分方法まで見る

重要事項説明書は契約前の判断材料、契約内容を明らかにする書面は自分の具体的な合意です。二つを分けたうえで、事業者、届出、法令順守、秘密、業務、委託、料金、解除、資料処分を照合します。

署名前に、△・空欄・口頭のみの項目を持ち帰ってください。同じ質問を二社へして、説明と書面が一致し、自分の言葉で条件を説明できる契約だけを選びましょう。